中国の大学に受入内諾書(予録取通知書・中国政府奨学金)を申請する

中国の大学に受入内諾書(予録取通知書・中国政府奨学金)を申請する

中国政府奨学金の申請時に添付する文書として、受入内諾書(预录函・预录取通知书)を出してくれる大学があります。

早ければ前年末、遅くとも年明け1月には、各大学の募集案内ページに情報が出るので、指示の通りに書類を準備し、提出します。できればネット検索で前年度の申請書を入手し、どんな書類の提出が必要になるか把握しておくことをおすすめします。

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24年中国政府奨学金への申し込み

内諾書取得のメリット

この記事で紹介する内諾書とは、CSC向け内諾書、つまり、中国政府奨学金申請をする学生向けに発行する受入内諾書です。一般出願で合格後に取得できる预录取通知书とは異なりますのでご注意ください。

日本国内での書類選考・面接選考()を経た後、合格者は文部科学省から在日中国大使館を通じて中国政府に候補者として推薦され、そこから志望校として3つ書いた各大学に、第一希望のところから順に回され選考()されます。

この①の最初の選考を飛び越して、の部分を希望大学に先にやってもらうのが、内諾書申請です。

今年から大きく変わった選考システム

昨年までであれば、奨学金選考は、第一希望の大学から順に審査に回され、第一希望の大学に選んでもらえなければ次は第二希望の大学へ、そして、第3希望の大学でも採用してもらえなければ、CSCが配置する他の大学に行かされる、という流れでした。特定の大学にどうしても行きたいわけでなければ、じっと待っていればとにかくどこかの大学には行かせてもらえたのです。

しかし今年度から、JASSOのページ上に「申請者が記入したすべての留学希望大学が不採用となった場合、不合格となる」という一文が明記されました。

2021年度募集要項
※出願後の留学希望大学および専攻分野の変更は認められない。
※本奨学金の申請前に、留学希望大学の入学試験を受け、受入れ内諾書(予録取通知書)を取得した場合は、留学希望大学への入学が確実になる。受入れ内諾書(予録取通知書)を本奨学金の申請前に取得しなかった場合には、各大学が申請者の成績や語学力等で受入の可否を判断する。なお、留学希望大学に採用されなかった場合、それ以外の大学に配置されるため、あらかじめ留意すること。また、既に中国の大学に在籍している場合でも、必ずしも中国政府奨学金留学生として在籍校に採用されるとは限らない。
2022年度募集要項
※留学希望大学は慎重に選ぶこと。北京、上海など大都市にある大学は、申請者が多いため競争倍率が高く、面接選考に合格しても希望の大学に採用されない可能性が高いため、留学希望大学を選択する際は大都市以外にある大学についても考慮すること。また、学力のレベルに差をつけて出願することが望ましい。
申請者が記入したすべての留学希望大学が不採用となった場合には、不合格となる。なお、出願後の留学希望大学および専攻分野の変更は認められない。
※特に修士、博士、進修生は、本奨学金の申請前に留学希望大学の入学試験を受け、受入れ内諾書(予録取通知書)または指導教官の招聘状などの証明資料を取得することが望ましい。また、既に中国の大学に在籍している場合でも、必ずしも中国政府奨学金留学生として在籍校に採用されるとは限らない。(太字は筆者編集)

第一~第三希望の大学に採用してもらえなければ、不合格となるのです。
第三希望の大学まで審査をされるとなると、本当に7月の終わりあたり、ギリギリで不合格の通知を受け取ることになります。秋からの予定が白紙に戻ります。かなりヘビーな結末です。

このような結末を回避するためにも、希望大学は地域も含め慎重に選び、できるだけ早く3つの大学のうち1つだけでも内諾書をもらえていると、精神的な負担がかなり違うだろうと考えます。

現時点でこの「記入したすべての留学希望大学が不採用となった場合には、不合格」という文言は日本向けの文書にしか記載がないようです。他国での募集要項を確認してみましたが、同様の記載があるところは見つけられませんでした。

内諾書があれば自費生として入学可

万が一、国内で実施される書類選考や面接で不合格になったとしても、内諾書が出ていれば、自費生としてその大学に入学が可能になります。(内諾書に入学許可書として有効であるという文言があることを確認してください。)

タイミングが合えば、不合格がわかってすぐに地方政府奨学金に申し込めばワンチャンありますし、1年の学費と生活費が確保できているならば、2年目に再度、中国政府奨学金に申請することもできます。地方政府奨学金のなかでも北京・上海政府奨学金などは、中国政府奨学金と遜色ない手厚い手当が出るようです。

今年からは募集要項に「受入れ内諾書(予録取通知書)などを取得することが望ましい」と記載されているということは、内諾書を持っている学生を優先して採用する可能性も考えられます。

要項には「特に修士、博士、進修生は」とありますが、記入した3大学で採用してもらえなければ不合格、という(おそろしい)新システムになった以上、本科生や1~2年の普通進修生でも、内諾書取得にトライする価値はあると考えます。

大学への一般出願との違い

CSC向け内諾書取得のプロセスは、一般出願とは異なります。
一般出願では試験や面接を課す大学でも、CSC向け内諾書を出すための選考では奨学金申請時に提出するのと同じ書類のみを見て結果を出す、という場合が多々あります。

奨学金申請とは別に個別に大学に出願しようとしている人も、それとは別に、CSC向けの内諾書取得ができないかどうか調べてみてください。奨学金申請・内諾書・一般出願と、入学のためのルートが3つになり、チャンスが増えます。

情報の見つけ方

希望大学の留学生用募集要項ページを定期的にチェックしましょう。
英語ページだけに情報が掲載されている場合(そしてその逆)もあるので、英語ページ・中国語ページの両方を確認します。

そこに内諾書についての情報が書かれていない場合は、ネットで検索してみます。

「预录取申请 〇〇大学」というキーワードで検索すると、過去の申請方法が見つかることもあります。
希望大学が過去に预录取申请を受けつけていることがわかれば、問い合わせ窓口に連絡すれば、対応してくれる場合もあります。過去の実績が見つからなくても、行きたい大学にはとにかく何でもダメもとで問い合わせてみることをおすすめします。

今回見つけた青島大学の申請方法です。

申请者本人将青岛大学硕博留学生预录取申请表(附件一)、留学生申请表(附件二)、有效护照复印件、最高学历证明、最后学历阶段成绩单、两位副教授以上职称人员推荐信等学院要求的其他材料通过邮件发送至申请学院(学科或导师),由学院审核完成后统一将以上材料发送至青岛大学留学生办公室。

北京大学は2018年の内容が見つかりました。
最近数年は申請方法がお知らせページにアップロードされていないのですが、こういう場合は留学生支援室にメールで問い合わせすると、受付の有無を含め、最新情報を教えてくれると思います。

● 申请步骤
1、网上申请。时间:3月12日—4月10日
2、邮寄资料。请务必在2018年4月15日前将所须提交的纸质申请材料邮寄至北京大学留学生办公室。
注意:逾期不再受理申请。请在邮件包裹的显要位置注明“中国政府奖学金预录取申请”。

● 录取原则
综合评价、择优录取。

● 语言要求
1、申请中文授课项目,中文应达到HSK6级210以上。如果申请者母语为汉语,或汉语实际水平已达到,但是没有HSK成绩,请另附材料说明。如果您最终获得录取资格,可能需要补充相应的证明文件。
2、如果汉语水平未达到要求,可以选择先进行1-2年的汉语学习。
3、北京大学部分专业开设了全英文授课的硕士项目,无汉语水平要求,感兴趣者可点击 English Taught Programs。 英文项目的收费标准请查询各项目招生简章。请注意:中国政府奖学金不能完全覆盖这些英文授课项目的学费,您还需要自行交纳差额的费用。
4、北京大学部分理工科博士生专业能够为博士生提供全英文的培养,请申请者直接与感兴趣的教授联系咨询。

どの大学でも、必要書類は、「CSCに提出する書類」が基本です。
それに加えて、その大学での学習計画書・志望理由書と、大学独自の预录取申请表の提出が必要です。
学習計画書はCSCに出したもののアレンジで大丈夫ですが、最低文字数に注意しましょう。

メールで電子データのみの提出でOKな大学もあれば、原本を郵送しなければならないところもあります。郵送の場合はお金も時間もかかるので、余裕をもって準備をはじめておくことをおすすめします。

推薦書

中国政府奨学金申請においては、本科生と普通進修生は、2通の推薦状は必須書類ではありません。
しかし、複数の大学で、内諾書申請の際に本科生でも推薦状2通が必要なことを確認しています。

本科生・普通進修生の場合、高校の先生、あるいは大学教員に書いてもらったもので受け取ってもらえると思いますので、学校に交渉してもらってください。先生個人名の自署があれば、学校印は必要ないところがほとんどだと思います(学校印のある推薦状を出してもらうのは、高校によっていろいろな条件が必要になりますが、教員個人名の推薦状であればそこまで厳格な審査はないと思います)。

無犯罪証明書

数年前から中国政府奨学金申請の際の必須書類となった、この「無犯罪証明書」。
都道府県庁に問い合わせて断られたり、警察署に行って断られたり、苦労なさった方も多かったようですが、今回から募集要項に「CSCが作成した無犯罪経歴確約書を提出」と明記されています。

募集要項ページからダウンロードできる無犯罪経歴確約書をプリントアウトして、署名するだけで大丈夫です。

ところが、内諾書申請をする際、「この確約書では申請できない」と大学側が受け付けない場合があります。
おそらく担当者の誤解なので、「日本の中国大使館に電話で確認して、日本人が申請する場合はこの確約書でよいと言われた(実際に確認しました)」と説得をしたところ、受け付けてもらえました。もし大学の担当者に断られても、がんばって食い下がってみてください。

外国人体格検査表

CSCに外国人体格検査表を提出するのは、22年度募集では3月11日なので、おそらく皆さん、書類選考合格通知を受け取ったあとの2月下旬あたりに病院訪問を予定されていると思います。

ですが、内諾書の発行には、この外国人体格検査表の提出が必要です。(奨学金の書類選考結果がわかる頃まで提出を待ってくれる大学もあるかもしれません。大学によって対応方法は異なるので交渉してみてください。)

外国人体格検査表の有効期間は6か月以内なので、なるべく遅めに検査を受けたいところですが、内諾書発行に検査表の提出が必要で、どうしても内諾書が早くほしいという場合は、検査を早めに受けることになります。今年のようにビザがいつ出るかわからないような場合は、早く受けて内諾書を取得しておいた方がよいかもしれません。

内諾書の発行

大学に申請書類一式を提出した後、学内での審査に回されます。

ここでの審査の内容は、奨学金選考(書類選考、面接選考を経たあと、各大学での選考)と同じと考えていいと思います。

大部分の大学では、CSCに提出したものと同じ書類で選考し、結果を出してくれますが、上位校や人気校で奨学金選考でも面接やテストを実施する大学であれば、内諾書でも同じようなプロセスが追加で実施される可能性が高いです。

一般的な大学は2~3週間で結果をお知らせしてもらえます。
春節休みを挟むと長く待たされることになるので、待ちたくない方は早めに動き始めなければなりません。

外国人体格検査表が揃う前でも、大学によっては受け付けてくれるかもしれません。
外国人体格検査表以外の書類を事前に提出しておいて、検査表は後からでもOK、としてくれる大学もありますので、交渉してみてもいいと思います。

大学によっては、というより、担当者の個人的な采配によるのかもしれませんが、外国人体格検査表の提出前にそれ以外の申請書類を審査に回し、選考を始めてくれていた大学もありました。外国人体格検査表を遅れて提出したところ、すぐに内諾書を受け取れた、という事例もありました。

こういった幸運な事例を標準と考えると痛い目に合うので、物事を進めるときは悪いほうに考えておいた方が無難ではあります。

日本と違って、いい意味でも悪い意味でも予想を裏切る対応が起こることが多いので、こちらも柔軟に対応していく覚悟が必要です。

不合格通知があった場合も、納得できない場合は不合格の理由を尋ねるなど、できるかぎりのことをやってみることをおすすめします。単純に担当者のオペレーションミスということもありますし、熱意に応えて追加の資料を受けつけて再審査してくれるという可能性もゼロではありません。

CSCにアップロード

内諾書を入手出来たら、CSC電子申請ページにアップロードします。

内諾書の併願

CSC向け内諾書=入学許可書なので、基本的にはいちばん行きたい大学から内諾書をもらえれば、それでじゅうぶんだと思います。
しかし、選考に面接や試験があり、結果がわかるまで時間がかかる大学の場合は、並行してほかの大学にも内諾書申請をし、そのうえで一般出願の準備をしておくのも安心でしょう。