大学秘書の仕事・その2
秘書というと、スーツを着てハイヒールを履いて、というイメージがあるかもしれませんが、少なくとも私が経験したところではそんなことはありませんでした。
大学職員の方々もオフィスカジュアルで、人によってはかなりカジュアル寄りのスタイルもよく見かけます。医局では秘書も白衣を羽織っているところもありました。
思いもかけないトラブルや作業が発生し、対処することもあるので、基本的に動きやすい服装が適しています。
ゼロからの立ち上げ
企業での事務職と大きく違って驚いたのが、研究室というのは大きな組織の中のひとつの独立した子会社みたいなものだということです。
普通のそこそこ大きな企業であれば、入社した日には自分のデスクに自分のPCが据えられ、必要な手続きは基本的にすんで、すぐに業務に入れる環境が整っていました。ある程度自分でやらなくてはいけないことはあるでしょうが、マニュアルも整っていて、わからなければどこの誰に聞けばいいかも周知されていました。
大学の研究室に入ってすぐ、ここには通用するマニュアルもなく、新しく研究室が立ち上がったりスタッフが入ってきても、大学自体はお膳立てしてくれず、自前で準備しなければならないということに大きなカルチャーショックを受けました。
棚を設置するのに電動ドリルやドライバーを使ってガンガン作業もしました。ルーターやLANの配線もしましたし、スタッフのPCのトラブルにも対応しました。私は自宅でのDIYが好きだったり家電の配線なども自分でやっていたりしたので、苦になりませんでしたが、業務の範囲が広すぎて嫌になる人も多いだろうと感じます。
誰に聞けばいいかわからない
前任者がマニュアルを残していてくれたり、引継ぎがあったりすればある程度様子がわかるのでしょうが、まったくない場合は途方に暮れてしまいます。
秘書の大きな役割として、研究室と大学とを結ぶということがありますが、「この問題は誰に聞けばいい」というのが最初はまったくわかりません。
以前外資企業の支社総務で働いたことがありましたが、そこも似たような感じでした。電話をしては「それは私の担当じゃない」「どこが担当かはよくわからない」と言われ、それを何度も繰り返してようやく正解にたどりつける。
私の場合はこの外資企業での経験が役に立ちました。ドメスティックな大企業の派遣社員ではあり得ない職場環境です。
業務を円滑に進めるために、わからないことを聞ける別の研究室の秘書さんと知り合うことも大事ですが、それだけでは解決できない問題も多いので、とにかく大学の事務方とコミュニケーションをとるのがいちばんです。
なるべく会って話を聞きに行って、顔を覚えてもらって、「これはどの部署に尋ねるのが適当でしょうか」と聞ける関係をできるだけ増やしておく。
気難しい方も多いのですが、何度も話をする中で少しずつ打ち解け、困ったときに手を差し伸べてもらえるようになったことも少なくないので、研究室の中以上に、大学事務側との接点を増やすことをお勧めします。
わからないことを調べる
大学秘書の仕事では、調査するスキルや、自分ひとりの力でなんとかすることを学びました。
大きな企業に派遣社員として勤める時期が長かったので、「聞けば誰かが知っている、困れば担当部署に連絡すれば何とかしてくれる」という環境が当たり前になっており、全部ひとりでなんとかしなければいけないのがとても新鮮でした。
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